バイオマーカーとは?医療を支える生物学的指標の種類や用途

2021/12/22

バイオマーカーとは?

 バイオマーカー(biomarker)とは、ある疾患の有無、病状の変化や治療の効果の指標となる項目・生体内の物質を指します。バイオマーカーとして使用されるものは、主に血圧、心拍数や心電図、血液中に測定されるタンパク質等の物質といった生体由来のデータとなります。
いずれも薬理学的な反応指標として、客観的に評価できる項目・物質であることが条件となります。

バイオマーカーの種類・用途

 バイオマーカーは、疾患の診断、状態の評価や予測に用いられるのみならず、医薬品開発(新薬の探索研究や臨床試験など含む)においても利用されています。その目的に応じて以下のような種類があります。

  • 診断マーカー:疾患の診断に用いる
  • 予後マーカー:疾患の経過を予測する
  • 薬力学マーカー:薬剤(化合物)の作用機序を見る
  • 予測マーカー:特定の治療による効果を予測する
  • モニタリングマーカー:疾患の判断や治療への反応を見る
  • 患者層別マーカー:薬剤(化合物)に関連した特定の分子を発現している患者を選別する
  • 安全性・毒性マーカー:薬剤(化合物)の安全性、毒性を評価

また、イメージングマーカー(CTやMRI検査結果)や分子マーカー(血液中の物質など)、腫瘍マーカー(がんの進行に伴い増加する特定の物質)などの呼び方もあります。

バイオマーカーの探索

 バイオマーカーのうち分子バイオマーカーは、遺伝子解析(マイクロアレイや次世代シーケンサーなどが代表的な技術)やタンパク質解析(プロテオーム解析)のようなプラットフォームを用いて探索します。その他メタボロミクス、リピドミクス、グライコミクスなどもバイオマーカーを特定するための技術として挙げることができます。

バイオマーカーの今後

 現在進められている個別化医療においてバイオマーカーの重要性は増しており、がんなどの特定の疾患分野においてバイオマーカーの活用により個別化医療が実現されています。
 現在では治療効果を計る指標として活用されることが多いバイオマーカーですが、今後は疾患予防のための指標としての活用が今まで以上に期待されています。
 また、これまでは侵襲的な処置が必要で、患者への負担を強いる生検が必要であったバイオマーカー検査において、リキッドバイオプシーという概念が取って代わろうとしており、今後注目すべき動きとなっています。