組織・細胞のマイクロRNA解析
マイクロRNAは、以下の図に示すように、細胞や組織内でimmatureなマイクロRNAが様々なプロセッシングを受けながら、matureなマイクロRNAとなり、タンパク質の生成過程を制御している。このようにマイクロRNA自体の作用機構に関してもまだまだ未解明なものが多く、また、2000種類のマイクロRNAがどのようなたんぱく質を制御しているのかについても、その対応関係が未解明な部分が多いです。
例えばがんの発生においては図に示すように、癌の種類(臓器)によって係わっているマイクロRNAの種類が違い、かつ発癌を促進するマイクロRNAと抑制するマイクロRNAが存在します。このため、それぞれの癌種あるいはStage(進行度合い)によって様々な種類のマイクロRNAを研究する必要があるため、マイクロRNAを検討する初期段階では、DNAチップのような網羅的な解析方法で全てのマイクロRNAについて検討を行う必要があります。さらに、実際の作用機序の解明の際には、通常標的とするマイクロRNAのノックインあるいはノックアウトを実施した後、メッセンジャーRNAの発現解析やタンパク質の解析を実施して、その作用機序の対応性を明らかにする必要があります。
図1 マイクロRNAによる遺伝子発現制御機構
図2 がんに関連していることが知られているマイクロRNAの発現量(病気によって上下)